時間と場所でカンタン検索!外遊びレシピ
前回の記事で、子どものカラダの発達だけではなく、心を育む大切な役割があることをご紹介した幼児期の外遊びには、ママやパパ、じいじ、ばあばなど、大人の目と手でのサポートが欠かせません。それは、ただ単に安全面だけの問題ではないよう。今回も、幼児期の運動遊びに詳しい杉原隆先生にお話を伺いました。
前回は、幼児期のうちにできるだけいろいろな運動パターンをさせることが大切だということを紹介しましたが、杉原先生によると、そのためには親のサポートが必要だといいます。
「子どもにもっとたくさんの動きや遊びをさせたいな……と感じたら、ママやパパがそのための場所や道具を用意してあげましょう。自分で遊びを探し出し、
さまざまな動きが自然にできる子どももいますが、最近は外遊びが苦手な子や、外で遊びたがらない子どもも多くなっています。そんなタイプの子でも、
親の工夫次第でいろいろな動きを経験することができるんです」
たとえば、室内遊び場に連れて行って、遊具のトンネルを「くぐる」、ふわふわのマットの上を「転がる」など、外ではできない動きをして遊んだり、
ママのお手伝いのなかで「ぞうきんがけ競争」や「ころころバスタオル」などでカラダを動かしてみたり、
買い物の行き帰りで「白線の上歩き」や「大股歩き」で遊んでみたり……。公園での外遊び以外にも、さまざまな動きを経験できるチャンスは生活の中にいくらでも転がっています。
遊びのきっかけを与えたら、まずはいっしょに遊んでみましょう。ママやパパがモデルになって、遊んでいるところを見せるのもいいそう。どんな遊びでも、親が楽しそうに挑戦する様子を見ると、子どもの興味がグッと高まります。
「また、子どもは親以外のたくさんの友達と遊ぶことも大切です。子どもが体を動かす楽しさを感じるようになったら、次に親が整えてあげる環境で大事なのは、
一緒に遊ぶ“仲間”作り。小さな子どもにとって、友達を自分で集めるのはなかなか難しいこと。幼児期の頃は、大人が友達と遊べる機会を作ってあげましょう。
さらに、少人数での遊び、大人数での遊び、ひとりでの遊び、親子での遊びなど、バリエーションがあるのが理想的」
子どもが夢中になって遊び出したら、あとは基本的には見守るだけでOK。もちろん、親の手助けが必要そうな遊具で遊ぶときなどは、適度に手を差し伸べることも忘れずに。
「ママやパパからの声かけも大切です。できたら褒めるのではなくて、できてもできなくても、
一生懸命に取り組んだことに対して、『よく頑張ったね』と『楽しかったね』とか、子どもの心に寄り添ってあげましょう。
この時期は、特定の動きが上手にできることよりも、いろいろな動き自体を経験することが大切なので、
挑戦したことを褒めてあげるのがポイントです」
大人にとっては、なんてことない日用品も、子どもにとっては遊び道具!? 子どもは、どんなモノでも遊具にしてしまいます。
たとえば新聞紙。丸めるとボールになるし、広げるとごっこ遊びに使える四角い部屋になり、クルクル丸めるとチャンバラの刀代わり。外遊びであれば、ペットボトルで水遊びや土遊びをしたり、段ボールや木の棒、落ち葉で基地を作ったりと、子どもにとっては魅力的な遊具に早変わりします。
「既存の遊び道具ではなくて、身近な日用品や自然物で工夫して遊びを発見することで、子どもの柔軟な発想力や創造力が育まれます。また、水や土、泥などの自然物に触れて遊ぶことは、子どもの感受性を豊かにしてくれますね」
ときには、大人が想像しないようなものまで遊び道具にしてしまうことも。その中には、子どもにとって危険なモノもあるでしょう。そこは、大人がきちんと見守って、道具を用意してあげることも大切です。
子どもが外遊びをするということは、ただカラダを動かして体力をつけたり、運動パターンを経験させるということだけではなく、友達といっしょにルールを決めて遊んだり、今までできなかったことに一生懸命取り組む中でたくましい心が育まれていくなど、さまざまな要素が含まれているのです。
そのためのサポートは、ママとパパの役目です。仲間や道具の用意など、外遊びのための環境作りをして、あとは適度に見守ってあげましょう。子どもはママやパパに見守られることで、安心してのびのびと遊ぶことができます。
(プロフィール)
杉原 隆先生
東京学芸大学名誉教授、現在は一般財団法人田中教育研究所所長。専門はスポーツ心理学や体育心理学。文部科学省の委員として、幼稚園教育要領、認定子ども園教育・保育要領、幼児期運動指針の策定に関わる。(財)田中教育研究所にて幼児の運動遊び指導講習会「遊びのとらえ方と遊びとしての運動指導の方法」を行っている。
財)田中教育研究所:
http://www.maroon.dti.ne.jp/tier/index2.html